第250話
「祖母はこのラジオをとても大事にしていました。毎日磨いていて、時には嬉しそうだったり、時には悲しそうに、おばあちゃんはとにかくこのラジオをとても大切にしていたんです。私は小さい頃からそれを見ていて、このラジオはおばあちゃんにとって宝物なんだろうなって思ってたんです。まさか、こんな切ない思い出があるなんて、おばあちゃんから話を聞くまで知りませんでした。」
じーちゃんはラジオを膝に乗せたまま、大事そうに触れてじっとラジオを見つめていた。
「おばあちゃんは亡くなる前に、私に頼みがあるって言ったんです。おばあちゃんが亡くなった後、もしも和夫さんが訪ねてきたら、このラジオを渡して欲しいって。」
「…そうか…。澄ちゃんは、このラジオをずっと大事にしてくれていたんだな…。」
じーちゃんはラジオを見つめたまま俯いて言った。
「おばあちゃんは、亡くなるまでずっと乃海君のおじいさんの事を想っていました。おばあちゃんが生涯愛したのは、乃海君のおじいさんだけです。」
ノエルの目から涙がこぼれた。
「この手紙、このラジオの裏に付けてありました。きっと乃海君のおじいさん宛の手紙だと思います。」
ノエルは手紙をじーちゃんに渡した。
「ありがとう、ノエルちゃん。」
じーちゃんはノエルを見て笑顔でお礼を言った。
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