第246話


「親の思うような子になる必要はないんじゃないかな…。好きなこととか無いの?」


俺はノエルに聞いた。


「英語は好き。学校の勉強の中で、唯一好きな科目なの。」


「いいじゃん。俺なんか英語まったくできないよ。」


「英語だけじゃなくってね、いろんな国の言葉に興味あるんだー。中国語とかも習ってみたい。」


「そっかー。じゃ、ノエルは語学の道に進んだらいいんじゃない?」


俺がそう言うと、ノエルは恥ずかしそうに俺を見た。


「実はね、前から海外の大学に行ってみたいなって、思ってたの…。」


「マジで…?」



「あくまでも夢だけどね。」


「ノエル海外に行っちゃったら俺どうしたらいいんだよー!」


「だから、あくまでも夢だよ、夢!」


ノエルはそう言って、慌ててお茶を飲んだ。


「乃海君は、高校卒業したらどうするの?」


「俺? …そうだなぁ…。ノエルと結婚しよっかな。」


俺がそう言うと、ノエルはお茶を噴出しそうになった。


「ダメ? 俺けっこう本気なんだけど?」


「だって…、これから大学行ったり社会に出たりして、私よりもっといい人出てくるかもしれないよ?」


「出ない! 出るはずがない! ノエルと他の女じゃ、背負ってきた歴史が違う! 有り得ない! …という訳で、すぐじゃなくてもいいからちゃんと考えといてね! あんまり遅いと俺勝手に進めるかもしんねーけど…。」


ノエルは顔を真っ赤にして和菓子をパクパク食べた。


「ノエルが海外の大学行くことになったら、俺も行く。だから、ノエルは自分の思うように好きなことやって下さい。もしも…一緒に行けないときは…待ってるから絶対帰ってきて! 


俺…おりこうさんにノエルの帰りを待ってるから。」


俺が大げさに悲しそうに言うと、ノエルは噴出して笑った。


おりこうさんに留守番している自分を想像すると、マヌケすぎて俺も笑ってしまった。


旭の言っているのとは違うかもだけど、、俺も完全に自己崩壊だぁ…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る