第236話


「安藤さー、パンダ見たことある?」


安藤は俯いたままだったが、旭はお構いなしに一人で話した。


「私さー、あるパンダファミリーの話読んで、人生観変わったんだけどさー。パンダって絶滅危惧種じゃん。だからとりあえず数を増やさなきゃいけないから、人工授精したり、産まれた貴重なパンダを死なせちゃいけないから人口保育をするのが普通だったんだって。でもね、そうやって育ったパンダって、子作りしなくなったり、子供が生まれても育児放棄したりするようになるらしいんだよ。だけど、和歌山のある動物園は、パンダに自分の子の育児をさせるようにしたんだって。そしてある程度大きくなるまでお母さんの愛情をたっぷり受けて育つようにしたの。そうやって育ったパンダは自然に子作りしたり、育児放棄もしないで子供を育てるようになるんだって。」


旭はパンダを思い浮かべながらウットリして言った。

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