第235話


「もしかして、みんな同じ夢見てた?」


俺が聞くと、皆は頷いた。


「ノエルが働いていた軍需工場みたいなとこ…多分ここだよね? 校舎は建て変わってるし、ここから見える市街地もだいぶ変わってるけど、面影残ってる! 絶対ここだと思う!」


旭が言った。


「あの夢、私たちの前世なんだと思う。」


ノエルが言った。


「うん。確かにそんな感じだった。」


旭がそう言った。


その時、安藤が立ち上がってその場を離れた。


俺たちのいる場所から離れたベンチに座って頭を抱え込んでいた。


旭はそんな安藤をしばらく見てから、安藤のいるベンチへ行き、横に座った。


「俯瞰して見ないと、自分の行動がどうだったかって、意外と自分じゃわからないもんだよね…。」


旭はボーっと上を見上げて言った。


「俺は…俺はそんなに酷いやつだったのか…。」


安藤は頭を抱え込んだまま俯いて言った。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る