第232話
健二は南方の部隊にいた。
出された指令は、どんでもない物だった。
400キロ近く離れた陣地を奪還せよ、などという無謀な命令だった。
兵站は全くと言っていいほど十分ではない。
現地までの移動すら足りない食糧で、武器すらまともに揃っていないのに、どうやって戦えというんだ!
兵隊たちは口には出せないが、皆怒りを感じていた。
上からの指示では、食料や武器は敵から奪い取って補充しろ、とのことだった。
物資が無くとも大和魂で勝て!
という幹部の言葉に、大和魂とは随分万能な物だな、と健二は皮肉を言いたい気分だった。
しかし軍の命令には逆らえず、無謀な行進は始まった途中、飢えや病気で死んでいく仲間も少なくなかった。
健二はただひたすら、無我夢中で歩いた。
そして敵地へ近づいた。
敵の装備を見て、皆が腰を抜かしそうになった。
奴らに比べたら、自分たちの武器など子供だましのようだった。
しかし戦うしかない。
逃げることは許されない。
銃を構えて一人でも多くの敵を討ち取る。
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