第229話
その数日後、健二たちは南方へ行く船に乗るために、港のある街へと向かわされた。
その駅は、大正時代に建築された洋風の駅で、列車の終着駅だった。
健二はこの駅へ降り立った時、自分の人生も終着駅へやってきたような気分になった。
内地を見られるのはこれが最後かもしれない。
そう思うとたまらなく由紀子に会いたくなった。
健二は心が飢えているのか、無性に喉が渇いた。
ちょうど手洗いの前に水飲み場があった。
健二は貪るように水を飲んだ。
これが内地で飲む最後の水かもしれないと思った。
いや、俺は必ず帰ってくる。
由紀子と約束したんだ!
必ずまたこの地に降り立って、この水を飲むんだ!
そして健二は南方へと渡る船へ乗り込んだ。
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