第227話


 健二は陸軍へ入営することになった。


軍の施設でしばらく訓練をした後、戦地に配属されるという事だった。


軍に入っていると、否が応でも噂は耳に入ってきた。


健二が思っていた通り、戦況は悪化の一途を辿っていた。


中でも南方は酷い有様という噂だった。


健二は嫌な予感しかしなかった。


肌身離さず持っている由紀子の写真と四葉の栞が健二の心の支えだった。


 しばらくして配置される場所が伝えられた。


健二たちは、南方の最前線に配属されることになった。


健二は目の前が真っ暗になった。


果たして自分は由紀子との約束を果たせるのか不安になった。


健二は暗い気持ちで部屋を出ると、廊下に男が立っていた。


男は斉藤と名乗った。



(その男は安藤だった)

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