第223話


 車は小高い丘の上へ向かった。


前方に学校らしき建物が見えた。


その学校は昔小学校だった建物で、生徒減少で隣の小学校と統合され、ここは廃校になった。


廃校舎の再利用で、雑貨屋やカフェ、レストランなどが出店するようになった。


古い校舎のレトロな感じに、それらの店は良く合っていた。


 駐車場に車を止め、俺たちは中に入っていった。


目的のレストランは1階の奥で、昔は職員室があった場所のようだった。


窓からは眼下に町全体が見渡せた。


年月が経っても、俺にはかつて高橋健二として暮らしていたその街だとわかった。


ふとノエルを見ると、ノエルは何故か怯えていた。


「乃海君、私、ここ怖い。」


「もしかしてこの場所、夢で何か見たとか?」


「昔から、ずっと見ていた怖い夢に出てくるとこにソックリなの。私はここのような学校で、何か作業をしてて、階段を上がって指示された部屋へ持って行った時、ふと窓の外を見ると、空が真っ赤に燃え上がってて、そしてしばらくすると、窓の横の方から真っ黒な巨大な飛行船のような物が通り過ぎるの。…その夢を見るたびに、怖くて怖くてたまらなくて…いつもおばあちゃんのところに行ってた…。」


「そっか…。もしかすると、前世の記憶かもしれないな…。」

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