第221話


「問題集買いに行くんじゃなかったのかよ!」


さすがに俺は頭にきた。


完全にデートするつもりだったじゃないか!


「おまえらが付いてこなきゃ楽しいデートだったのにな!」


安藤は吐き捨てるように言った。


「私だって、このレストランはいつかデートで行こうと思ってたんだよ! ったく…。」


何故か旭も怒っていた。


「その前にお前は自我崩壊的秀才男を捜せ!」


類が旭にツッコミを入れた。


「ん? 何? 自我崩壊的秀才男って?」


何故か安藤は自我崩壊的秀才男に食いついた。


旭の世界観は独特過ぎるので、たいていの人間はスルーするのだが、何故か安藤が食いついてきたので旭は気を良くして、自我崩壊的秀才男について語りに語りだした。


安藤はそれを真剣に聞いていた。


「なるほどねー、けっこう俺わかるな。今まで全く違う物質のようだった人間が、ある人間と出会うことによって化学反応が起こって全く別の物質の人間になってしまうって、うん、それはけっこう…アリだね。君、おもしろいね。」


安藤は感心していた。


旭はフッフッフッフと不敵な笑い声をあげていた。多分、目の中が真っ白になっているだろう。

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