第218話 トラクター王国の話 前世の恋よ再び5
森の外れで娘は若者を待っていた。
「ごめん、遅れて。実は…。」
若者は暗い表情をしていた。
「どうしたの? 顔色が悪いわ。」
娘は心配して若者に聞いた。
「実は…、急に兵役につかなければならなくなったんだ。」
娘の顔からオイルの気が引いた。
「どうして? そんな話、今まで無かったじゃない!」
「俺にも何が何だかわからないんだ。」
娘は前輪で顔を覆って泣いた。
「必ず帰ってくる! 役目を果たして、必ず君の元へ帰ってくる。だから待っていてくれないか?」
「必ず私の元に帰ってきて下さい!」
二人は抱き合って泣いた。
「これを持って行ってください。この四つ葉のキーホルダーが、あなたを守り、そしてあなたを私の元に導いてくれます。」
娘は四葉のクローバーのキーホルダーを若者に渡した。
若者はそのキーホルダーを自分の鍵に付けた。
「この四つ葉のキーホルダーに誓う! 俺は必ず生きて君の元へ戻ってくる!」
二台が悲しい別れをしているその裏で、娘の家には高価な貢物が次々と送り込まれていた。
もちろん送り主は貴族の息子だった。
貴族の息子は易々と娘の両親を懐柔した。
何も知らぬ兵士は娘からもらった四葉のキーホルダーを前輪で握り締め、戦場へ旅立つのであった。
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