第214話 トラクター王国の話 前世の恋よ再び1


 その昔、トラクター王国では名も知れない兵士と姫君との禁じられた恋があった。


二人は過酷な運命に引き裂かれ、結ばれる事無く人生を終えた。



 時は移り変わり、このトラクター王国の現国王はただの飾り物と化し、実質国の政治を動かしているのは元老院であった。


そしてその元老院を支配するのは枢機卿であった。


そう、この国の陰の支配者は、この枢機卿なのだ。


王の命といつわり、民から重い税を搾り取り、貴族たちは贅沢の限りを尽くしていた。


その為、国は疲弊し、隣国から攻めいれられ領土はジリジリと狭くなる一方であった。



 このトラクター王国のある村に、それはそれは美しいトラクターの娘が住んでいた。


見る者を吸い込むような深い色のヘッドライト、絹のような輝きを帯びたボディー、クリスタルのような輝きを持つフロントグラス。


その娘の評判は国中を駆け巡った。


そしてその噂は、元老院トップの貴族の息子の耳に届いた。


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