第210話


「類君、はじめまして。」


「あ、どうも。」


類はニヤニヤしながら赤くなって頭を掻いた。


そして横にいる俺の背中を肘で突き続けていた。


「おい、乃海!栗原凜という女がいるにも関わらず、俺の胸の鼓動は高鳴っている!どうしたらいい!」


類が小声で俺に囁いた。


「類よ! いいか、よく聞け! まず栗原凜はお前の女では無い。ノエルの可能性は無い。俺が潰す。おまえの胸の鼓動はまやかしだ。安心しろ。」


「そうか!まやかしか!わかった!」


類の思考回路は単純なのか思慮深すぎて一周回ってこうなっているのか分からないが、ニコニコしながらノエルに話しかけて、ショートコントやモノマネまで始めている。


栗原凜も、コイツと付き合ったらずっと笑っていられるんだけどな…。


栗原が類の素晴らしさに気付きますように!


俺は祈りを捧げた。




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