第203話
「何でって…俺が嫌なの! 君、ほんとわかってないね。俺言ったよね?」
「連絡とらないとか…、そういう事は出来ません。先生、この際はっきり言います。私…。」
「あー、そういうのいいから! 何も言うな。子供の君にはまだ正しい判断能力というものが備わってないんだよ。大人になったらわかってくるから。どうしたら苦労も無い人生を送れるかとか、それにはどういう人間と付き合っていけばいいかとか。子供はね、世の中をわかってないから恐ろしいんだ。一時の気の迷いで人生を狂わすことだってあるんだから!」
「先生!」
「今日はここまでね。週末は新しい問題集探しに行くから、朝迎えに来る。準備して待ってて。」
「問題集だったら自分で買いに行けます。ネットで探してもいいし…。」
「10時に迎えに来るから。お母さんにはもう許可をもらってる。ノエルも勉強でストレスが溜まってるだろうし、先生と一緒なら安心だから、一日ゆっくりしてきて下さいってさ。…どうせあいつはしばらく家から出られないだろうしな…。」
「! 先生…何で乃海君が動けないの知ってるの?」
私がそう言うと、安藤先生は眉間に皴を寄せた。
「じゃ、土曜日ね!」
そして安藤先生は私に話す機会を与えないまま帰っていった。
安藤先生は乃海君がしばらく動けないのを知っていた。
私は先生にその事を話してないし、乃海君が言うわけない。
先生の連絡先すら知らないはず。
乃海君は欠点を取って補講を受けなきゃいけなくなったって言ってたけど…もしかして安藤先生が何かしたんじゃないか…と思えてきた。
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