第198話


 自習を終えて学校の外に出ると、もうすっかり暗くなって肌寒かった。


空気がだんだん冬の空気に変わりつつあった。


「こんな日はシチューだぁ。」


類がシチューを思い浮かべてウットリとしている。


「でもうちのママ、シチューしかねだろっ! って日に限って海鮮丼作るんだよな。

体冷えまくるんだよ…。まあ、美味しいんだけど…。」


美味しい海鮮丼作ってくれるママ、優しいじゃねぇか!


文句言うな!


てか類よ、俺たちもう高ニだ…。


いまだに人前でママって呼ぶのはいかがなものか?


「あたしの腹は、今モーレツにおでんだね!」


旭がまたいつもの仏のような顔で言った。


「おでんだったらもうコンビニに出てるよな!食ってく?」


類の誘いに、なんだか俺もおでんが食べたくなってきた。


「いや、私の腹の欲するところのおでんは、うちの母親が作ったやつじゃないとダメだ。コンビニには無い…。」


「それ、どんなん?」


「名付けて…スイスおでん…。」


旭は目を細めて言った。


「スイス人もおでん食べるの?」


「食べないっ!」


「なんだそりゃ!」


「スイスおでんというのは…。」


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