第197話


類はさっきから腕組して考え込んでいた。


「ノエルに会えたのは良かったけどさ、澄ちゃん、亡くなってたなんてな…。それじーちゃんに言った?」


「そこ! それなんだよ!…類、俺、なんつってじーちゃんに言ったらいいと思う?」


「じーちゃん、絶対落ち込むよな…。しかもさ、澄ちゃん、例のラジオを死ぬまで大事に持ってたんだろ。しかもつい最近までまだ生きてて近くにいたのに…。そんな事聞いたら、じーちゃん余計に落ち込むよな。」


「そなんだよ。しかも俺、今月いっぱい動けねーし、こんなこと電話でする話じゃないし…。」


類も俺も溜息をついた。


「とりあえず来月になるまでは、じーちゃんから電話かかってきても言わないようにするよ。」


「そだな…。来月になったらじーちゃんとこ行くの?」


「うん。今でもしょっちゅう電話かかってきて、今度はいつ来るんだって言ってるからな。やっぱ寂しいんだろ。」


「乃海のじーちゃんに会うの久しぶりだな。最初の週末にする?」


「なんだよ、お前も来んの?」


「行くに決まってんじゃん! 最近乃海、いっつも俺ら置いてくだろ! 冷たすぎ! あ、旭ももちろん行くってよ。ノエルにも会わなきゃいかんって。」


「会わなきゃいかんって…。」


視線を感じて廊下を見ると、苺クレープにかぶりついた旭が、窓の外からこっちを見てニターっと笑っていた。


お前は妖怪かっ???

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