第194話


「前世を記憶する子供って、いるらしいもんね…。たいていは、子供の頃覚えてて、大人になるにつれて前世の記憶は無くなるとか言うけど、逆パターンもあるんだね…。」


旭は言った。


「ってかさ、乃海だけずるくない? 俺も連れてけって言ったのに! なんだよそれ! まさに俺が求めてるロマンチックラブじゃん!」


類がうらやましそうに呟いた。


あれから毎日放課後自習する俺の周りには、何故か旭と類も居残りして俺の邪魔をしている。


「それにしてもさ、その安藤とかいうヤツ、なんなの! そいつも絶対ノエルの事好きなんだよな!」


類は自分の事のように安藤を憎んでいる。


「安藤って、ノエルの家庭教師らしい。ノエルの母方の親戚で、医大生なんだとさ。ノエルの母方って、みんな高学歴で金持ちみたいでさ、そいつ、大学生で親のスネかじってるくせにでっかいドイツ車乗ってんの。目線がもうはなっから見下してる感ありありでさ、あーーー! 思い出すだけで頭くる!」


俺は握っているシャープペンをへし折ってしまいそうだった。

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