第192話


気があせり過ぎて、押しまくりすぎて、馴れ馴れしかったか???


俺は奈落の底に落とされた気分がした。目の前が真っ暗になっていくようだ。


しかし、俺のそんな不安は杞憂に過ぎなかった。ノエルは無言の訳を話してくれた。



「あの…、変な女って思われるんじゃないかなって、怖くて言えなかったんだけど…、聞いてもらえるかな?」


「何? 言ってみて。変な女なんて思うわけないから!」


「…あのね、私たち、駅の手洗い場の前で初めて会ったでしょ! 私、あの時、乃海君見て…、ビックリして…、本当に心臓が止まりそうだったの!」


あの時、俺も驚いて心臓が止まりそうだった。


夢に出てきたそのままの由紀子が現れたから!


こんなことって、本当にあるのかと思った。


これも実は俺の夢の中なんじゃないかと疑ったくらいだ。


「実はね…、私、乃海君に会う前から乃海君の事知ってたの! 私の夢の中で、乃海君と会ってたの! ごめん、気持ち悪いよね?こんなこと言ったら。」



「!」



俺はノエルからその事を聞いて、目の前に溜まったいたモヤが晴れ渡った気がした。


あれは単なる夢じゃなかった!


ノエルも俺と同じ夢を見ていたんだ。


ノエルは由紀子だ!



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