第191話


 その夜、ノエルに電話した。


安藤のことは言うかどうか迷った。


本当は言いたかったけど、ノエルが心配すると可哀相なので、結局言わなかった。


「…で、欠点とったから今月いっぱい放課後自習と、週末は死ぬほど課題出されるんだ…。」


「乃海君、大丈夫なの?」


「心配しないで。全然平気だから。ただ…ノエルに会いに行けないのが悲しい…。」


あー、俺はこんなこと恥ずかしがらずに言える男だったのだ。


向こうの気持ちも聞いてないのに。


でも、たとえノエルが俺の事なんとも思ってなくても俺の暴走する気持ちは押えようがなく、かまわず言ってしまう気がする。


ノエルの気持ち…考えてもみなかったけど、向こうの態度から、きっと嫌われてはないような気がする。


こんなにストレートに言ってるのって、押し付けがましいのかな?


もしかして、迷惑がられたりする?



「ノエル…?」


「ん?」


「あの…。」


「何…?」


「いや、俺…考えてみたら、いきなり呼び捨てしてるし…、思ってることそのまましゃべってるし…、もしかして…、迷惑じゃない…?」


「………。」



…無言だ…。


まさかとは思ったけど、俺…迷惑がられてんのか…。



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