第188話


俺は安藤に対する憎しみと怒りとストレスで体中の毛穴から猛毒ガスが溢れそうな気分だった。


そんな俺の心理状態を察したのか、それとも天然なのか、母親が笑顔で俺に言った。


「なんか甘いもんでも食べてこっか?」。


母親は普段からノンキな性格だけど、こんな時こういう性格の母親でありがたいなとしみじみ思った。


怒りマックスの状態で、さらに追い討ちかけてキレられたら、俺マジ家出してた…。


「母さん、ごめんな…。」


「乃海が人を傷つけたとか、誰かから乃海が傷つけられたとかじゃなくて、安心した~。」


母さんはくしゃーっと笑った。

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