第180話


「申し訳ないんだけど、これからうちに来れる?」



 ノエルの家は、駅からそう遠くない所にあった。


宝箱のあった図書館とは反対方向の山側に向かって俺たちは歩いた。


月明かりがノエルの髪を照らしてキラキラ輝いていた。


俺はこの光景を見たことあるような懐かしい感覚に陥っていた。


「なんか…今日あったように思えないな。」


俺は心の声を呟いてしまった。


「うん。なんだか変な感じだね。」


ノエルも同じように感じているのか?


「もしかして、どこかで会ったこと…無いよね?…あるわけねーよな。」


「覚えてないだけで…あるかもしれないよね…。」


俺は夢で見た由紀子の事を話してみようかと思った。


ノエルはそういうことを言ってもバカにしないで、きちんと聞いてくれるような気がした。


「あのさ…。」


話しかけようと思ったら、俺たちはいつの間にか丘の上まで歩いてきてて、横にノエルの住んでいる街の夜景が広がった。


「うわぁ…。」

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