第179話


「おばあちゃん、言ってたんだ…。自分が家族を助けなきゃいけない、自分が家族を助けられるんだ。だから和夫さんのことを諦めたって。でもそれは大きな思い違いだったって。自分がどうがんばっても、ダメになる宿命の物はある。自分は自分の気持ちに正直になるべきだったって…。おばあちゃんも、本当は乃海君のおじいさんと結婚したかったの。私のおじいちゃんには…、あまり口には出さないけど、すごく酷い仕打ちをされていたらしくて、夫婦仲は一度も良かったことが無かったみたい。おばあちゃんは死ぬまで乃海君のおじいさんの事を想い続けていたんだよ。」


ノエルの言葉に、俺は一層自分の不甲斐なさを感じた。


ノエルのおばあさんの為にも、俺はもっと早く行動を起こすべきだったと後悔が止まなかった。


「おばあちゃん、亡くなる前に、私に頼みがあるって言ってて…、私、そんな事本当にあるんだろうかって思ってたんだけど、こんなことって本当にあるんだね。」


ノエルは目を潤ませながら笑顔で俺を見た。


「乃海君、おばあちゃんの頼み、きいてくれないかな?」


「何でも聞くよ。言ってみて。」

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