第174話


俺は不思議な居心地の良さを感じていた。


初対面のしかもすごく可愛い女の子と二人でカフェに向き合っているというのに、ものすごく気持ちが安らぐ。


もちろん緊張もしてるけど、その緊張も心地よくて、ずっと一緒にいたいと思える。


何なんだコレ?


女なんかずっと面倒くさいと思ってたのに、ずっとノエルの顔を見ていたいと思ってる。


多分俺今、ものすごくだらしない顔してるんだろうな…。



「あの!」


「あの!」


俺とノエルは同時に言った。


そしてお互い、どうぞどうぞとどこかのコメディアンみたいに発言を譲り合った。


「私のはたいした事ないから、乃海君からどうぞ。」


「あのさ…ノエルの家って…水原工務店っていう会社やってる?」


ノエルは驚いた顔をした。


「ごめん!気持ち悪がらないで!俺、ストーカーとかそういうんじゃないから!」


しまった。


いきなりこんな事言うんじゃなかった。


俺は早くも後悔し始めた。


「大丈夫。乃海君、そういう風に見えないし。でも何で知ってるの?」


「じつは…俺のじーちゃんが、水原澄子さんていう人を探してて…。」


ノエルはすごく驚いて、動かなくなった。

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