第173話


後一時間くらいなら大丈夫だとノエルは言った。俺はノエルとそのカフェに入った。


夢に出てきた由紀子は三つ編みにセーラー服で、それもすごく似合っていたけど、目の前の水原ノエルは灰色のベストに同じ色のプリーツスカートで白シャツにえんじ色のネクタイをしている。それもすごく似合ってて可愛い。


「乃海君は…この辺の高校じゃないよね?その制服見たこと無い。」


「あー、だよね。俺隣の県だから。」


「そうなの?引っ越してきたの?」


「いや、じーちゃんがこの街の老人介護施設に入ってて、それでこっちに来ること多くなったんだ。」


「そうだったんだ。学校帰りに大変だね。」


「いや、普段は週末とかに来るんだけど…何故か今日はここに来なきゃいけないって…急に思い立って電車に飛び乗った。」


「そうだったんだ!」


「飛び乗って良かった。」


俺はしみじみそう思って言った。


ノエルはどう理解していいのか、複雑な笑顔をしていた。

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