第169話


俺は、その子をじっと見つめたまま動けなくなった。


その子も俺を見たまま金縛りにかかったように動かなかった。


俺たちはしばらく言葉も無く見つめ合ったままだった。


話しかけたいけど、何て話しかけていいのかわからない。


いきなり、君の事このまえ夢で見たよ、なんて言ったら完全に変態だと思われる!


どうしたらいいのかパニックになっていたら、その子の方から声をかけてきた。


「あの…。」


その子も言葉に迷っている感じがした。


「もしかして、宝箱探してるの? ごめん、俺先に取っちゃった…。」


俺は無理矢理自分の気持ちを落ち着かせて、平静を装っていった。


「あ、そうじゃなくて…。この前私もそれを見つけてて…。変なメッセージ書いてしまったから気になって見に来たんです。」


その子は恥ずかしそうに笑顔で言った。


やばい…めちゃかわいい…。


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