第168話


俺はじーちゃんの施設と水原工務店のある街へ行く電車に飛び乗った。


電車はしばらく街中を走り、旭の言っていたトラクター王国を横切った。


俺はトラクター王国の兵士に哀悼の意を表した。


ん?


兵士は死んでなかったか…。


もといトラクター兵士に憐憫の情を覚えた。


そのうち店や家も少なくなって、トンネルを抜けると山と田園地帯が広がった。


夕日に照らされて、まだ刈り取られていない稲穂が黄金に輝いて揺れていた。


電車はさらに進んでいった。



 駅に着いた時には、もう薄暗くなっていた。


この時間帯にレトロな駅舎の中にいると、大正か昭和の初めかにタイムトリップした気分になる。


駅の裏手の水飲み場に行ってみた。


この間宝箱を見つけた場所だ。


そしてそのノートにノエルが「来世の約束を信じますか」と書いていた。


俺は「信じます。」と書いたのだった。


宝箱は今日も同じ場所にあった。


宝箱を手にとって見ていると視線を感じた。


振り向くと、同年代の制服を着た女の子が俺をじっと見ていた。


女の子はすごく驚いたような顔をしていた。


その子は見たことがある、俺はその子を知っていると思った。



そうだ!


この前のリアルな夢で見た!



由紀子だ!



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