第166話


「で、乃海はそのミズハラノエルって子が澄ちゃんと何か関係があると思ってるわけ?ってかさ、そんな宝探しなんておもしろそうな事、何で俺ら抜きでするわけ? 誘ってよー!」


類は口を尖らせて俺を睨んだ。


「今そのキーホルダー持ってんの? 見せて。」


旭がそう言うので、俺は二人にキーホルダーを見せた。


「キレイだねー。これ作った人、めちゃ器用じゃん。」


旭がキーホルダーを持ち上げて光にすかしてみせた。


「じーちゃんの話聞いてさ、その後施設の石田さんから来世の約束の話聞いてさ、それで宝箱のノートにノエルが(来世の約束を信じますか?)だろ。どう考えても何かに導かれてるとしか思えない。」


「かもな…。」


二人も頷きながら俺の意見に同意した。


「やっぱ行ってみるしかねーんじゃないの? その水原工務店に!」


「電話番号わかってるんだったら、電話して澄子さんの事聞いた方が速いんじゃない。」


「バカ、おもしろくないだろそれだったら! ここはやっぱりドラマみたいに劇的な展開が欲しいっつーの!」


類と旭は好き勝手に俺の重要案件を計画し合っている。


突然、見ず知らずの高校生がその工務店のおばあさんの事を聞きに来たらどうなんだろ?


快く教えてもらえるんだろうか?


変な勧誘とか詐欺とかと勘違いされて警察に通報されるんじゃないか?


俺はどうしたものかと悩んだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る