第150話
私は急いで祖母のいる病院へ駆けつけた。
安藤先生の車で病院へ向かっている途中、嫌な予感がしてたまらなかった。
病院へ着くと、すでに父と母は祖母の元へ来ていた。
安藤先生は私の両親に挨拶して、自分は邪魔になるからと言って帰って行った。
「今夜が峠だと思われます。会わせたい方がいらっしゃいましたら連絡してください。」
先生はそう言った。
祖母は苦しそうだった。
体調も良くなってきているように思えた。
もうすぐ家に帰って来れると思っていたのに何故こんなことになってしまったんだろうと私は胸が苦しくてたまらなかった。
祖母に会わせたい人、おばあちゃんが会いたい人は、和夫さんしかいない!
和夫さんに会わせてあげたい!
でも和夫さんの居場所がわからないよ、おばあちゃん!
私は祖母に申し訳なくて涙が止まらなかった。
父と母は親戚などに連絡するために少しの間病室を離れた。
私はずっと祖母の手を握っていた。
すると祖母の目が薄っすら開いて、私を見た。
「おばあちゃん! 気がついたの? おばあちゃん!」
祖母は私を見るとニコッと笑った。
「ノエルに…お願いがあるの。」
「何?何でも言って!」
「もしも………。」
私は涙を堪えながら、うん、うん、と答えた。
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