第113話

 

幼稚園に入る前からピアノとバレエを習わされた。


本当は水泳とか卓球をやりたかったのだけど、結局言い出せなかった。


ピアノは好きだったけど、正直バレエは苦手だった。


私は体が硬いのだ。


幼児のころからそれは自覚していた。


しかし母は、


「ノエルにはバレエが似合うわ。ロマンチックチュチュで踊るとこ、早く見たいな。」


と、言うので、母の期待を裏切ってはいけないと思い、硬いからだにムチ打って歯をくいしばってがんばった。


だけど、もともとバレエの才能のカケラもない私は、後から入ってくる子たちにどんどん抜かれて劣等感の塊になった。


練習はがんばっているのに先生からは練習不足だと怒られた。


たまに手を上げられたり足で蹴られたりすることもあった。


私は先生とその教室に対して恐怖しか感じなくなった。


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