第112話
母は、裕福な家庭で苦労とは無縁に育ったお嬢さんだったが、父が会社を経営するようになってからは事務を手伝い、今では陰の経営者と呼ばれる程会社を仕切っている。
母自身も自分にこんな一面があったことを自分が一番驚いているらしい。
従業員は社長である父よりも、専務の母を恐れている。若い社員には叱咤激励、と言うより、叱咤叱咤…な感じの鬼専務だ。
でも、会社に一人くらい鬼のような人が居た方がいいんだ、と父はいつも言っているので、そんなもんなんだろうと私は思っている。
実際会社はかなりうまくいっているみたいだ。
母の実家は所謂家柄が良い家庭で、親族ほとんどが有名大学卒、一流企業、医者、弁護士で、そんな一族に育った母は当然娘の私もそれなりの進路に進むのだと信じて疑わない。
母の指導の下、幼い頃から私は塾や習い事漬けの毎日だ。
私は家族みんなの期待を一身に受け、それを裏切らないように日々精進している。
そんな家族のもとに私、水原ノエルは生まれた。
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