第111話
祖母は、幼い頃から私の憧れだった。
優しくて凜として昭和の女優さんみたいだ。
詳しくは知らないけど昔はかなり苦労したらしい。
しかし自分の苦労を話すのは、祖母の美学に反するのか、祖母から苦労話を聞いたことは無い。
いつも穏やかに微笑んでいるイメージの祖母だが、時々一人の時、とても悲しい目をして窓の外を見ているのを私は知っている。
父は代々続いた裕福だった材木店を継がず、建築士の資格を取って他所で修行し、その後小さな工務店を始めた。
父と祖父は仲が悪かったそうだ。
祖父は私が生まれる前に亡くなっていたので、どんな人だったのかは、あまりよく知らない。
でも、家族はみんな祖父の事を良く思っていないようだ。
親への反発心からなのか、父は祖父を一切頼らなかった。
真面目で仕事もできる人だったので、工務店は順調に大きくなり従業員も増え、自社で建てたアパートやマンションなどの賃貸を始めたことから不動産の別会社も経営するようになったそうだ。
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