第102話 もう一つの人知れない恋の話21
「良子さん!何を言ってるの? 私はそんなつもりで来た訳では無いの。一生和夫さんに会うつもりなんて無かったの。ただ、ちょっと辛すぎる事が重なって…自分でもほんとに情けないのだけど、一目だけ和夫さんの姿を見られたらまたがんばれるような気がして…それで…。本当にごめんなさい。」
良子は思いつめた表情で澄子に言った。
「…澄子さん…。正直に言いますね。私は、あなたの事を思って言ってるんじゃないの。私は自分の愛する人が幸せでいて欲しいと思っているだけなの。今まで一緒にいて見ないふりをしていたけど、本当はわかっていた。私が和夫さんを幸せにすることは無理なんだって。だから…!」
「それは違うわ、良子さん。」
澄子は心の中にあった霧のような物が、日に照らされて消え去っていくような気がした。
「私…良子さんのような人になりたい。私、もっと強くなるわ。だから、良子さんも和夫さんも、元気で幸せに暮らしてください。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます