第100話 もう一つの人知れない恋の話19
良子は早口で話して喉がカラカラになったので、お茶をぐいっと飲み干した。
そして澄子の目をじっと見つめてまた話を続けた。
「和夫さん、言ってたの。澄子さんが…自分を裏切る形になってしまって、罪悪感を抱かないように、俺は幸せになる。あの子にかわいそうな思いをさせたくないんだ、って。あの子には、ずっと笑顔でいてもらいたいんだ、って。」
あんな風に和夫を傷つけ痛めつけた自分に、和夫はそんな風に思ってくれていたことを知り、澄子はたまらない気持ちになった。
「澄子さん…ごめんなさい。私、そんな弱っている和夫さんに付け入ったの。和夫さんを幸せにする役目、私にやらせて!って言ったの。和夫さんが澄子さんだけをこの先もずっと想い続けてもかまわないから、私の事を好きじゃなくてもかまわないから、私と結婚して欲しい。絶対に和夫さんが腹の底から笑える日々を約束する。澄子さんが罪悪感を感じないくらい和夫さんを幸せにしてみせる!って。」
「良子さんって…すごいわ。」
澄子は良子から借りた手ぬぐいで涙を拭きながら微笑んで言った。
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