第89話 もう一つの人知れない恋の話8
澄子の結婚生活は幸せとは程遠かった。
澄子は結婚したからには夫に尽くそうと思っていたが、事あるごとに夫は“おまえはまだあの男の事を思っているんだろう”と澄子を疑い、冷たい目で見ていた。
しばらくして澄子は子供を授かった。
その頃から夫の帰りは遅くなった。
たまに帰ってこない日もあった。
長男を出産した時も夫は駆けつけなかった。
正一が初めて息子の顔を見たのは、病院から退院して家に帰って来た時だった。
正一は赤ん坊をチラリと見ると、澄子に冷たく言い放った。
「本当に俺の子なんだろうな?」
澄子は頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。
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