第80話


「…大黒堂?そういえば私が子供の頃あのあたりに大きな工場のある和菓子屋さんがあったような気がするわ。ああ!おばあちゃんに聞いたらわかるかも!ちょっと待ってて、おばあちゃん呼んでくるから。」


えびす屋のおばさんはおばあさんを呼びに行った。


俺たちは「シャー!」と拳を握り締めた。


えびす屋に来てよかった。これというのも鼻の利く旭のおかげだ。


「旭、ありがとう。ここに辿り着けたのも、食意地の張ってる君のおかげだ。」


感謝の気持ちを表すために旭に向かって拝んだ。


「拝むだけでなく、そこに旨そうな塩豆大福が売ってあるので、それを私にお供えしなさい。」


旭は仏になったかのような不気味な笑顔で俺に言った。


しょうがないので俺は塩豆大福を三つ買って、おばさんを待つ間三人でそれを食べた。


 しばらくすると、奥のほうからえびす屋のおばさんに連れられて小柄なおばあちゃんがやってきた。


「大黒堂さんの事を聞きたいんだって?」


おばあちゃんは笑顔で俺たちに尋ねてきた。

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