第69話
じーちゃんの実家は、俺の住んでいる町から電車で二時間くらいかかる別の県にあった。
もうそこにはうちの親族は誰も住んでいないので、訪れることもほとんど無かった。
電車に乗って向かっている途中、旭がふと聞いてきた。
「ねえ、乃海のおじいちゃん、初恋の人探ししてるけど、おばあちゃんとはどうだったの?仲悪かったの?」
俺は小学校…確か六年の時に亡くなった祖母の事を思い出した。
「じーちゃん、ばーちゃんとは仲悪くなかったよ。どちらかというと良い方じゃなかったかな。ばーちゃんは…何ていうか…いわゆる肝っ玉?とにかく元気が良くて、面白いことを言って周りを笑わせて自分も大笑いしてるような人だったかな。少し大雑把なとこがあって、俺の父さん、弁当空けたらお米が底に一面敷き詰めてその上に子持ちししゃもを焼いたのが何匹も縦にズラっと並んでたことがあったらしくて、恥ずかしくてソッコー蓋閉めて学校の屋上で一人で泣きながら食べたことあったって言ってたよ。今でもでもししゃも嫌いだもんな。よっぽどドラウマになったんだろな?それ以来弁当は自分で作るようになったって言ってたよ。父さん、ばーちゃんのトラウマのせいで変なとこ神経質になったのかも。基本ノンキではあるけど…。いかに生活をオシャレにするかに命かけてるもんな。ま、そんな事やらかすばーちゃんだったけど、俺の記憶じゃ、いつも笑ってるイメージだった。」
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