第65話


 ものすごくリアルで物語性がありすぎる夢で、目が覚めてからも俺はしばらくそれが夢だとは理解できなかった。


思わず由紀子を探そうとしてしまった。


気が付いたら涙が流れていた。


いまだに胸がドキドキしている。


気持ちを落ち着けるためにキッチンに下りて行って氷水を飲んだ。


そして顔を洗った。


少し気持ちが落ち着いてきた。


何故か胸のあたりがチクチク痛んで食欲も無かったので、コーヒーだけ入れることにした。



我が家はコーヒーにはこだわりがあって、入れる毎に豆から轢くことにしている。


面倒だと思われるけど、やっぱり手間がかかる分、思い入れが深くなるのか美味しく感じる。


コーヒーミルは電動の物もあるのだが、なんとなく今日は手動の物で丁寧にコーヒー豆を挽いた。


面倒くさい単純作業をすることで、心を落ち着けたかったのかもしれない。


こういう単純作業は無心になれるし波立った心が静けさを取り戻してくる。


瞑想に近いのかもしれないと思う。


湯を沸かしてハンドドリップで丁寧に淹れた。


コーヒーのいい香りが部屋中に漂った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る