第64話


「あ…あの…高橋健二です。はじめまして。」


俺は名乗ることだけで精一杯だった。


「小林由紀子です。私は…高橋さんのこと知ってました。時々見かけてました。四葉のクローバー、嬉しかったです?」


「ほんと?よかった。」


「私、いただいたクローバーを押し花にしてるんです。それでしおりを作ろうと思って。出来上がったら使っていただけますか?」


「いいの?ありがとう。楽しみに待ってる。」


初めて会ったにもかかわらず会話は弾んであっという間に時間がたってしまった。


日が傾いてきたので由紀子を家に送っていった。


ほんとはもっと一緒にいたかった。


送っていく道すがら、夕日が由紀子の髪に当たってキラキラ輝いていた。


横にいるだけで胸がいっぱいになった。


そして昨日まで話したことも無かったのに、今日別れたた後の寂しさをもう感じている。


もしこの先会えなくなってしまうとしたら、俺はどうなってしまうんだろうと思った。


何でこんな子がいるんだろうと不思議な気持ちになっていた。



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