第61話


色の白いキレイな横顔で、本を本棚に戻す手がすごく美しかった。


その少女の回りだけ空気が澄みきって、時間の流れが違っているような感じがした。


俺は今まで経験したことのない胸の高鳴りを感じた。


そしてその少女がこっちを見た。


そのキレイな目と視線が合ったとき、時が止まったような感覚に陥った。


少女は俺に向かって「何かお探しですか」と話しかけていたようだが、舞い上がってしまって何も理解出来なかった。


その時田中が会計に行き、「すみません」と声をかけた。


するとその少女は「はい、只今参ります」と会計向かって小走りに去っていった。


俺はその場所から動けず、田中が会計を済ませて俺の元へやってくるまで、ずっとその少女を見つめていた。


田中とその本屋を出るときも、何度も後ろを振り返ってしまった。


田中は俺を見て首をかしげていた。

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