第60話


 その晩、奇妙な夢を見た。



夢の中で俺は自分を俯瞰で見ていた。


自分の行動を自分で見ているのだ。


夢の中で俺は詰襟の学生服を着ていた。


しかし高校生ではないみたいで、どうも大学生のようだった。


柳並木の大通りをレトロな路面電車が走っていた。


車はすごく少ない。


大通り沿いはたくさんの商店が並んでいて活気がある。


高い建物もあまり無くて、空が広い。


明治か大正か昭和かわからないけど、どうも昔の日本のようだ。


俺は友人と二人で歩いていた。


俺はその友人を田中と呼んでいた。


田中がすぐ先の角の本屋に行こうと言っている。


探している本があるようだ。


田中は本屋に入ると一人で黙々と本を物色していた。


俺はその辺に置いてある本をなんとなくペラペラとめくった。


そしてふと視線を横にやると、そこには三つ編みの高校生くらいの少女が本を本棚に戻していた。


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