第52話


 そんなことを考えながら、あらためて水飲み場を見ると、やりきれないような怒りのような悲しみのような、暗く重い気持ちが込み上げてきた。


俺は、自分は今の時代だから普通に生きていられるんだろうなと思った。


 スマホを取り出して座標を見ると、まさにこの水飲み場をさしているのに気付いた。俺は水飲み場の周りを探した。


水飲み場そのものには、どこにも宝箱は無かった。


その後ろに洗面所があって、そこの壁にランプがついてあった。


ランプの後ろを探すと、壁に取り付いている板の窪みに宝箱を見つけた。



箱を開けると、ミズハラノエルのクローバーのキーホルダーが入っていた!



それまで戦争に想いを馳せて重く沈みこんでいた心が一瞬で暖かくなった。


戦争時代に引きずり込まれていた自分を、ミズハラノエルのクローバーが平和な現代へ連れ帰ってくれたような気がした。


今日はなんだかこのキーホルダーをまたもらいたい気分になって、自分の持っていたミニカーと取り替えた。


記帳をする為にノートを開くと、そこには信じられない言葉が書いてあった。



― 22th Sep 2018 Noel Mizuhara

来世の約束を信じますか?

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