第47話


施設の中は、夜は大部分の電気が消されて薄暗くなる。


窓の外は海で、昼間のそれとは全く違い暗闇に押し寄せる波もその音も恐ろしくてしかたがない。


ここで亡くなった人もたくさんいるんだろうと思うと、幽霊がいてもおかしくない。


鏡に映る自分を見るだけでゾっとする。ここで当直できる石田さんをすごいなと思った。


「出るよ。」


石田さんは何事もないようにサラっと言った。


俺は背筋がゾーっとした。


「マジですか…。ちなみに今もいたりします?」


「いるよ。」


またもや石田さんはサラっと言った。


俺は失神しそうになった。


「この部屋にはいないよ。大丈夫、安心して。」


石田さんはハハハと笑ってそう言った。


「ちなみにどんな霊がいるんですか。怨霊とかもいたりするんですか?」


「怨霊はここでは今まで見たことないけど…、ここで亡くなった人とか、ここにいる人に会いに来る霊とか…そんな感じかな。」


「会いに来る霊とかもいるんですか…。」


霊の世界にも友人宅訪問なんてのがあるのかなと思った。


「乃海君、来世の約束って聞いたことある?」


石田さんは真面目な顔をして俺に聞いた。


「来世の約束?知らないです。聞いたことないです。」


石田さんはビールをぐいっと飲んで、その話を始めた。



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