第44話
「…じーちゃん…それ小説にしなよ。映画化決定だって!」
俺は涙でグズグズになって言った。
「そうかの?全米も泣いてくれるかの?」
じーちゃんも涙を浮かべてそう言った。
「いきなりアメリカ進出かよ!」
俺は思わず笑ってしまった。
じーちゃんも涙を拭いながら笑った。
「でも、何でいまさら澄子さんを探してんだ?」
「それがな、俺も家庭を持って、人並みの幸せを手に入れて、可愛い子供も孫もできたしな、澄子さんのことはもうずっと前に、考えないようにしようって心に決めてきてたんだがな…去年あたりだったかな…夢に澄子さんが何回も出てきたんだ。そして夢の中で、私を探してください、って言うんだよ。わしもな、もうこんな体だし、先も長くはない事は分かっている。そう思うと、もう一度澄子さんに会いたくなってな。」
じーちゃんはそう言って遠い目をした。
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