第41話 人知れない恋の話8


 和夫は澄子を連れて大黒堂へ向かった。


玄関の前には澄子の父親が立っていて、和夫を見ると掴みかかってた。


澄子が制止するのも聞かず、父親は和夫を何度も殴った。


和夫は一切抵抗しなかった。


和夫は澄子の父親に、夕べからの事を土下座して謝った。


そして就職が決まった事、卒業したら結婚を許してほしい事を懇願した。


父親は和夫の言う事など聞く耳も持たず、澄子の腕を引っ張り家の中へ引きずり込み、娘に二度と近寄るな、と玄関を思いっきり閉めた。


「澄ちゃん、待ってて!俺必ず迎えに来るから!」


和夫は玄関の外から中にいる澄子に向かって叫んだ。



 その一ヵ月後、和夫は信じられない知らせを受けた。


 澄子が結婚したというのだ。

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