第40話 人知れない恋の話7
「私は今すぐがいいんです。親に認めてもらえなくても、勘当されてもかまわないんです。」
澄子は別人のように頑なに言った。
「澄ちゃん、何かあったの?」
和夫が聞いても澄子は何も答えなかった。
しかし和夫は真剣に澄子との事を考えていたので、ここで夜明かしさせる事は出来ないと、暴風雨の中、澄子を連れて駅へ向かった。
しかし電車はすでに台風で運行停止になっていた。
和夫は頭を抱えてしまった。
しかしこの近辺に澄子が泊まれるような旅館など無かったので、やむなく自分の下宿へ帰った。
和夫は澄子の為に布団を敷いて、自分は部屋の隅の壁にもたれ掛るように座って。
「和夫さんがここに寝てください。」
「いいんだよ。澄ちゃんが寝て。明日朝一番で送って行くから。」
和夫は壁にもたれ掛ったままいつの間にか寝てしまっていた。
朝、人の吐息を感じて目を覚ますと、隣に澄子が座って和夫の肩に頭を乗せてもたれかかったまま寝ていた。
澄子の髪からいい匂いがした。
和夫は澄子が愛しくてたまらなくなって、何度も澄子の頭を撫でた。
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