第39話 人知れない恋の話6
「澄ちゃんどうしたの?こんな時間に。」
とりあえず澄子を部屋の中へ入れて、手ぬぐいを渡した。
「こんな物しかなくて申し訳ないけど、俺外に出てるから着替えて。風邪引くといけないから。」
和夫は自分の服を持ってきて澄子に渡し、部屋の外へ出た。
しばらくすると澄子がドアを開けた。和夫は中へ入って、暖かいお茶を入れ、澄子に渡した。澄子の顔は青ざめて、目に涙を浮かべて震えていた。
「俺さ、就職決まって卒業したら、澄ちゃんに正式に結婚を申し込もうと思ってるんだ。」
和夫はニッコリ笑って澄子に言った。
「澄ちゃんとこは代々続く立派な家柄だし、こんな俺が結婚を許してもらうには、澄ちゃんと結婚するに見合った人間にならないといけないと思うんだ。ご両親にちゃんと認めてもらえるようにきちんと挨拶に行きたいと思ってる。だから卒業まであと少しだけ待っててもらえないかな?」
和夫がそう言っても澄子はうつむいて黙ったままだった。
「今じゃダメですか?」
澄子は呟くように言った。
「え?」
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