第34話 人知れない恋の話1


「人知れない恋の話」



主な登場人物 岩崎和夫(俺のじーちゃん)

       若松澄子(じーちゃんの初恋の相手)



 岩崎和夫は地元の高校を卒業して県外の国立大学に進学した。


和夫は外国の音楽や文学に興味を持っていて、本当は英文学を学びたかったのだが、「資源の無いこの国が生き残っていくには技術力しかない」という祖父の信念から、和夫は工学部に進んだ。


実家からの仕送りもあまり無かったので、大学生活を謳歌するという訳にはいかず、勉強とバイトに明け暮れていたが、バイト代が入って時には奮発してジャズ喫茶に行き、その時はまだそんなに美味しいとも思えなかったコーヒーを注文して、ジャズ喫茶でコーヒーを飲む自分という姿に酔いしれながら、未だ見ぬ異国に思いを馳せていた。

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