第29話


「どうだろうな…。俺の田舎に行ったらまだあるかもしれないな。澄子さんのお兄さんが店を継いでるはずだからな。」


「大黒堂って、この街じゃないの?じゃ、何でじーちゃんここに来たんだよ?」

「澄子さんの嫁ぎ先がこの街のはずなんだ…。」


じーちゃんは目を瞑って眉間に皴を寄せた。


「あ、そゆことね。」


ふと時計を見ると、すでに12時近くになっていた。


その時ドアがノックされ、職員さんがじーちゃんを迎えに来た。


これから食堂へ行くようだ。


「お前はどうする?一緒に食うか?」


職員さんもよかったら是非どうぞ、と薦めてくれた。


「いや、せっかくだから街探検に行ってくるよ。どこかで食べてくる。」


「そうか。気をつけてな。」


俺はまた自転車を借りて街へと向かった。

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