第28話


「で、澄子さんの消息は何かわかったか?」


「名前だけでわかるわけねーよ!何か他に情報ないの?」


じーちゃんはニヤリとしてクローゼットを開けろと指差した。


「その箱を持ってきてくれ。」


箱を取り出すとけっこう重かった。


じーちゃんは蓋を開け写真を取り出した。


大黒堂という看板を掲げた店の前で写した集合写真だった。


「真ん中の右の女の人が澄子さんだ。横の眼鏡をかけた恰幅のいいおじさんは、澄子さんのお父さん。で、後ろの左端がワシだ。」


大人しい可愛い感じの女の人が写っていた。


じーちゃんは意外にも若い頃はけっこうカッコいい。


「もしやと思って探してみたら、写真が見つかったんだ。写真を見ていたらいろいろ思い出したよ。澄子さんは、大黒堂という和菓子屋さんの娘さんなんだ。ワシは近所に住んでいたから、学生の頃、繁盛記に時々小遣い稼ぎに仕事をさせてもらっていたんだ。」


「この大黒堂って、まだあるの?」


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