第24話


料理の後片付けをしてから、じーちゃんの施設に行く準備をした。


準備と言っても一泊分の着替えくらいだ。


玄関を出ると秋の冷たい空気が漂っていた。


暑苦しい夏にうんざりしていたので、寒くなっていくのが嬉しい。


一年中、季節が秋だったらいいのになぁ…。

 

 家の戸締りを終え、駅に向かった。


そして、じーちゃんのいる隣県の街行きの快速電車に乗った。


土曜の朝なので、車内は空いていた。


車窓をぼーっと眺めていると、昔森だったところが住宅地になっていた。


たくさんのオシャレな家が建っている。


あの一つ一つに家族が住んでいて、それぞれ俺の知らない生活があるんだと思うと不思議な気がしてきた。


ここだけでもこれだけの知らない生活がある。


日本中、いや世界中だと、どれだけの知らない生活があるんだろう?今は知らない人でも、先で知り合いになることもあるかもしれない。


今俺の目に映っているあの家の娘さんが、将来の俺の彼女や嫁さんかもしれない。


あの家の息子は、もしかして未来で俺のことを殺すかもしれない。


そんな密な関係になり得る人々でも、今会ったとしたらそれはわからない。


この前、三人で運命の人の話をしてたけど、もし本物の運命の相手だとしたら、出会ったときにわかるのだろうか?


将来の何かを察知できたりするのだろうか?


超能力者でも無い限り、そんな事わからない気がする。

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