第16話


「でも、手がかりが名前だけって、それ無理じゃねーか?」


「役所とか行っても個人情報の関係とかあるし無理だよね。」


「そうだよな~。」


俺はため息をついた。


「じーちゃんと同じくらいの年だったとしたら、もしかしたらもう生きてないかもしれないしね。でも、その人に会いたくてわざわざ隣県の施設に入ったんだろうしな。出来たらじーちゃんの願いを叶えてあげたいな…。」


「でもさ、よく言うじゃん!昔可愛かった子が何十年後かに同窓会で会ったら、すごいオバさんになってて、誰なのかわからなかった…とか。美しい思い出のままにしとく方が私はいいと思うけどな。」


確かに旭の言う通りかもしれない。


「ま、簡単にはいかないよな…。」


俺たち三人は腕組して溜息をついた。


その時、注文していたオムそばが運ばれてきた。


俺たちはこのB級グルメをこよなく愛している。


この店には他にもいろんなメニューがあるのだが、焼そばをオムレツのように卵で包んで、その上からお好み焼きソースとマヨネーズと青海苔がたっぷりかかってあるこのB級メニューを結局注文してしまう。

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